お口の病気の代表的なものは、むし歯と歯周病です。
共に細菌によって引き起こされる感染症ですから、お口を清潔な状態に保つことで予防することができます。

当院では、歯の主治医として親身に皆様の歯を治療、予防させていただきます。
定期的な検診(数ヶ月に1回程度)で健康でキレイな歯を保って下さい。

「歯石取り」「PMTC」「フッ化物塗布」「ブラッシング指導」などで、むし歯・歯周病の予防に努めておりますが、最高の予防法は「自己管理」にあると考えられます。しっかりと予防すれば充分にむし歯等を防ぐことができます。

むし歯について

むし歯のメカニズムが解明されておらず、接着の技術が乏しかった頃のむし歯治療は、ごく小さなむし歯であっても、むし歯の部分だけでなく、そのまわりにある歯の健康な部分まで削るものでした。その結果、治療のたびに歯の健康な部分が失われ、歯の内部にある神経を取るだけでは終わらず、最終的に歯を抜くことが多くありました。

むし歯に関する研究や治療技術が進んだ今、私たちが取り組んでいるのは、歯のダメージを最小限に抑えた治療です。
ご自分の歯をできるだけ生かすための治療といっても良いでしょう。

実際、むし歯になり始めている部分や小さなむし歯を見つけた場合は、歯を削らずにむし歯の進行を抑えるための環境づくりと処置を行います。また、ある程度まで進んだむし歯では、むし歯の部分のみを削って詰めものをすることが可能となっています。

むし歯を削ってしまうのはカンタンですが、歯は一度削ると二度と元にはもどりません。歯がないことで起こる弊害もありますから、できるだけ長くご自分の歯を保ち続けるということが、身体の健康につながります。

  • C 1

    エナメル質の部分だけのむし歯

    痛みはほとんどありません。当院では、この状態の場合すぐに歯を削らずにむし歯が進行しないように経過を見ていきます。

  • 初期のむし歯のため削らない。まずはブラッシングの改善に努める。

  • 5年間全く進行していないむし歯。もちろん削ってない。定期検診に必ず来て頂いている。ブラッシングの状態も良い。

  • C 2

    象牙質まで進んでいるむし歯

    冷たいもので歯がしみるような痛みを感じることがあります。当院では、むし歯の部分だけを染めだす専用の液を用いてむし歯の部分のみを確実に取っています。むし歯の大きさによって最終的な詰め物を考えていきます。

  • 1. 象牙質まで達しているむし歯。歯の中の色が変わってきているのが見て分かる。

  • 2. むし歯の部分まで削った後、むし歯だけを染色する専用の液(青色)を使ってむし歯の部分だけを慎重に除去している。

  • 3. むし歯の部分だけを除去できた。健康な歯の部分は削っていない。

  • 4. 最終的に修復したところ。

  • C 3

    歯髄(神経)まで進んだむし歯

    ひどい痛みで夜も寝られないこともあります。また歯根の先に病巣をつくることもあります。この状態になった場合は、神経をとる治療を選択します。当院では、神経をとって根の中の治療をしている間は、ラバーダムといってゴムのマスクをします。このマスクをすることによって、器具や薬剤が口の中に落ちるのを防止したり、唾液などが根の中に入るのを防ぐための感染防止につながります。

  • 1. C3むし歯治療前。被せ物の下でむし歯が進行中。

  • 2. レントゲンで見ると、金属の被せ物の下のむし歯が神経まで進んでいることがわかる。

  • 3. 被せ物の下でむし歯が進行中。見ただけではよく分からない。

  • 4. 金属のかぶせ物を除去したところ。むし歯が深く進行している。

  • 5. むし歯に侵された神経を除去したところ。歯の中から出血している。

  • 6. 根の中をきれいに掃除したところ。根の掃除の時は必ずラバーダム防湿(ゴムのマスク)をする。

  • 7. 根の中にお薬をつけた綿を入れます。

  • 8. 1日目はお薬が漏れないようにセメントでしっかりと蓋をします。

  • C 4

    根だけになってしまった状態

    痛みが止まったようになりますが、治ったのではなく、歯髄が死んでしまっていることがほとんどです。
    この状態になると、抜歯になることが多いです。根を残すことができるかを確実に見極めて、今後の治療方針を患者さんと一緒に考えていきます。

歯周病について

ほとんどの大人がかかっている歯周病

35歳~44歳の人ではおよそ85%、45歳~54歳では約90%の人が、歯周病にかかっていると言われています。
つまり、ほとんどの大人が程度の差はあっても、歯周病にかかっているといっても過言ではありません。

歯周病は、歯を失う大きな原因のひとつです

歯を失う原因の第一位はむし歯ですが、歯周病もむし歯の次に歯を失う大きな原因になっています。
特に40歳あたりからは、歯周病の比率が高くなっています。

歯周病は、歯を支える周りの組織に起こる病気です

歯の周りには、歯を支える色々な組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)があります。
歯周病は、これらの組織が細菌に感染して起こります。また、歯の周りだけでなく全身的な要因・病気も原因となります。たとえば糖尿病の患者には、かなり重度の歯周病患者が多いのですが、糖尿病が悪化すると、歯周病も悪化するという関係が見られます。歯周病(歯槽膿漏)でお悩みの家族などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談下さい。

動脈硬化や糖尿病…全身疾患との関連

歯周病については近年、動脈硬化や糖尿病などの全身疾患との深いかかわりが指摘されるようになっています。
歯周病が進行して深くなった歯周ポケットでは歯周病菌がさらに増殖し、炎症が起きている部分は傷が開いたような状態になり、ここから血管に細菌が入りやすくなります。動脈硬化、糖尿病だけでなく歯周病菌が危険因子となる病気は幅広く考えられます。 適切なブラッシング(歯磨き)をはじめ、高い予防意識が必要です。